結ばれないはずが、一途な彼に愛を貫かれました ～裏切りと再会のシークレット・ベビー・ラブ～

　実は今も、それほど飲みなれていない。酒場で給仕をしているから、時々お客さんに奢られることはあるけれど、酔うわけにはいかないから一口だけにしている。

　アルベルトからグラスを受け取り、こくんと一口飲むと冷えたワインが喉を通っていく。フルーティな香りの爽やかな白ワインだ。

「美味しい。本当に美味しいワインって、違うのね」
「ワインは良く飲むの？」
「えぇ、酒場ではエールも人気だけど、魚料理にはワインっていう人も多いから、時々出されて飲むんだけど。味が全然違うわ」
「……、酒場？　酒場って？」

　ソフィアが酒場と言った途端、それまで和やかな雰囲気で会話をしていたアルベルトが怪訝な顔をした。

「あぁ、私、夜は酒場で給仕をしているの。レース編みだけじゃ食べていけなくって。リヒトを預かってくれる人がいて、助かっているの。あ、今日はたまたま休みだったから、リヒトと海岸で遊ぶことができて、って、アルベルト？」

　むすっとした顔をしたアルベルトは、腕を組むと黙り込んでしまった。ソフィアはリヒトの口に皮をむいたエビを持っていくと、美味しそうにぱくりと食べる。ベーコンも一口大に切り分け、フォークを使って食べさせる。

「今日のリヒトは、いっぱい食べているわね」
「うん、ママ、すっごく美味しいよ」
「良かった、ママはリヒトが食べているところ、大好きだよ」