結ばれないはずが、一途な彼に愛を貫かれました ~裏切りと再会のシークレット・ベビー・ラブ~
「何を言っているの、アルベルト。私の家は雑貨店の二階なのよ。ここからの帰りは下り坂だから、リヒトも歩けると思うわ。お世話になったわね」
「待て、待ってくれソフィア。僕たちの話はまだ全然終わっていない」
「何を言うの、誤解も解けたんだし一件落着じゃない。あ、リヒトのこと?」

 コテンと首を傾けたソフィアを見たアルベルトは、非情に焦った顔をしてソフィアに迫った。

「と、とにかくまだ帰らないでくれ。ほら、リヒト君も一緒に部屋に入って」
「そう? そうまで言うなら……、でもお店もそろそろ開けないといけないから、長居はできないわ」
「ソフィア、とにかく、あ、朝食はまだだろう? 今サンドイッチを頼もうと思っていたところなんだ、一緒に食べよう」

 落とした書類のことも忘れたように、急いで部屋の中に入りテーブルの上を片付ける。ソフィアはアルベルトがどうしてそこまで慌てているのか不思議だった。リヒトのことはまたゆっくり時間をつくって話せばいいのに、と思っている間にアルベルトは朝食をオーダーしてしまう。

「チーズサンドイッチと、アップルジュースで良かったかな」
「えぇ、それならリヒトも食べることができるから、助かるわ」

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