結ばれないはずが、一途な彼に愛を貫かれました ~裏切りと再会のシークレット・ベビー・ラブ~
打ち寄せては引いていく波は穏やかだけれど、砂浜を走り抜ける時に音がする。アルベルトの端正な横顔を見ていると、ソフィアはトクリと胸が音を立てるのを聞いた。
(私、彼のこと——、ううん、そんなことないわ)
それでも男爵令嬢が絵描きに恋をするなんて馬鹿げたことは許されない。身分違いの恋なんて、劇の中のお話であって自分には関係ない。彼は一緒にいると居心地の良いただの友人だと、ソフィアは思い込もうとしていた。
気持ちに蓋をするようにソフィアはたわいのないことを話しかける。
「それでね、ミリーが子猫を見つけたらね……」
視線を感じて顔を上げた途端に、アルベルトが手を伸ばしてソフィアの耳にかかる髪を払う。思わず彼の顔が近づいてくる。その瞳はいつもと違って、熱を含んでいるようで——
「ソフィア」
甘い吐息と共に、アルベルトの唇がソフィアの頬を掠めた。
その時、キラキラと輝く水面の方へ強い風がごうっと吹き抜けていく。
「あっ」
気がついた時には白い帽子が風に飛ばされていた。ふわりと飛んだ帽子はそのまま海の方へいってしまう。
「お母様の帽子が!」
(私、彼のこと——、ううん、そんなことないわ)
それでも男爵令嬢が絵描きに恋をするなんて馬鹿げたことは許されない。身分違いの恋なんて、劇の中のお話であって自分には関係ない。彼は一緒にいると居心地の良いただの友人だと、ソフィアは思い込もうとしていた。
気持ちに蓋をするようにソフィアはたわいのないことを話しかける。
「それでね、ミリーが子猫を見つけたらね……」
視線を感じて顔を上げた途端に、アルベルトが手を伸ばしてソフィアの耳にかかる髪を払う。思わず彼の顔が近づいてくる。その瞳はいつもと違って、熱を含んでいるようで——
「ソフィア」
甘い吐息と共に、アルベルトの唇がソフィアの頬を掠めた。
その時、キラキラと輝く水面の方へ強い風がごうっと吹き抜けていく。
「あっ」
気がついた時には白い帽子が風に飛ばされていた。ふわりと飛んだ帽子はそのまま海の方へいってしまう。
「お母様の帽子が!」