結ばれないはずが、一途な彼に愛を貫かれました ~裏切りと再会のシークレット・ベビー・ラブ~
「だから、そういう訳じゃなくって……」

(もうっ、相手が子どもだからって、いつまでも一緒にいるようなことを言って……)

 ソフィアが言い直そうとした途端、トントンと扉をノックする音がする。朝食が用意され、運ばれて来たのだろう。アルベルトが「今行く」と伝えるとリヒトを抱いたまま扉に方に行ってしまう。

(アルベルトも、リヒトと仲良くしてくれるけど……このままでいいのかしら)

 本当の父と子だから、仲良くなるのは嬉しいことだ。けれどアルベルトは王都に住まいのある侯爵子息で、ソフィアはセイリュースに暮らしているから、どうしても離れて暮らすことになる。

仲良くなったとしても、その分離れた時に寂しくならないだろうか。けれど、そっくりな二人が仲良くしている姿を見ていると、とてもではないが引き離すことなんてできない。

 そのあと親子でそろって食べる朝食は、これまでセイリュースで食べたどの朝食よりも美味しかった。





「ところでソフィア、さっきはどうして帰ろうとしたんだ?」
「え、どうしてって。もう約束は果たしたわけだから、仕事もあるし帰らなきゃって」

 朝食も食べ終え、用意された紅茶を飲みながらアルベルトは足を組んだ。なぜかソフィアは尋問されているような気持ちになり、落ち着かなくなる。何か、おかしいことを言っただろうか。

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