結ばれないはずが、一途な彼に愛を貫かれました ~裏切りと再会のシークレット・ベビー・ラブ~
一瞬沈んだように見えたアルベルトは、浮きあがると腕と足を使って泳いでいく。歩くより泳いだ方が早いと判断したのだろう。スピードを上げた彼は手を伸ばして帽子を捕まえた。
「あぁ……、アル……」
ホッとしたソフィアは汚れるのも構わずそこに座り込んでしまう。
アルベルトは白い帽子を持って、海から岸に上がってきた。夏だから寒くはないだろけれど、服も髪も全部海水で濡らしている。
「アルベルト」
「はいこれ、大切な帽子でしょ」
アルベルトは海水で濡れてしまった白い帽子をソフィアの手に渡そうと差し出した。
「母の形見なの……」
帽子を受け取った後はすぐに話すことができなかった。ひくっ、ひくっと嗚咽に肩を震わせると、アルベルトはすまなそうな顔をしてソフィアの顔を覗き込むように身を低くした。
「大丈夫? 僕がいきなり海に入るから、びっくりしたのかな……、ごめん」
そうじゃない、と頭を横に振る。彼が、アルベルトが謝ることじゃないのに、思うように声がでない。涙を手で拭いながら、ソフィアはアルベルトの無事な姿に安心すると同時に、彼を失うことがとても恐ろしいことだと実感する。
「あぁ……、アル……」
ホッとしたソフィアは汚れるのも構わずそこに座り込んでしまう。
アルベルトは白い帽子を持って、海から岸に上がってきた。夏だから寒くはないだろけれど、服も髪も全部海水で濡らしている。
「アルベルト」
「はいこれ、大切な帽子でしょ」
アルベルトは海水で濡れてしまった白い帽子をソフィアの手に渡そうと差し出した。
「母の形見なの……」
帽子を受け取った後はすぐに話すことができなかった。ひくっ、ひくっと嗚咽に肩を震わせると、アルベルトはすまなそうな顔をしてソフィアの顔を覗き込むように身を低くした。
「大丈夫? 僕がいきなり海に入るから、びっくりしたのかな……、ごめん」
そうじゃない、と頭を横に振る。彼が、アルベルトが謝ることじゃないのに、思うように声がでない。涙を手で拭いながら、ソフィアはアルベルトの無事な姿に安心すると同時に、彼を失うことがとても恐ろしいことだと実感する。