結ばれないはずが、一途な彼に愛を貫かれました ～裏切りと再会のシークレット・ベビー・ラブ～

　アルベルトはリヒトを抱っこしたまま雑貨店の中を再び見ている。今のうちにソフィアはレティに今夜からリヒトの預かりは必要ないことを伝えようと思い、アルベルトに声をかけた。

「レティさんの家に行ってくるわ。リヒトのことを言わなくちゃ」
「だったら僕も一緒に行くよ。挨拶したいからね」

　リヒトと一緒にいるアルベルトが姿を表せば、彼が父親だと一発でわかるだろう。そしてすぐに噂となって広まるに違いない。さすがにアルベルトの正体まではわからないだろうが、ソフィアに恋人が戻って来たと思われるだろう。

　今までのソフィアであれば、そうした噂となる行動を避けたいと思っていたが、相手がアルベルトならば仕方ない、とまで思えるようになっていた。何しろアルベルトという本当の父親が現れれば、リヒトがこれまで片親であることで受けて来た窮屈な思いをしなくても済むようになるだろう。

そのままの流れでソフィアはアルベルトたちと一緒に隣の家に向かうと、ちょうど玄関からレティが出てくるところに遭遇した。

「こんにちは、レティさん。あの」
「まあっ、まあっ、ソフィア……」

　レティはリヒトを抱っこしているアルベルトがそっくりなのを見た途端、目をキョロキョロとさせて二人を見比べている。驚きすぎたのか、口を開けたまま言葉を失っていた。

「あっ、レーナ！　僕のパパだよ！」