結ばれないはずが、一途な彼に愛を貫かれました ~裏切りと再会のシークレット・ベビー・ラブ~
 突然、レティの後ろにいるレーナに向かってリヒトが声を上げた。抱っこされたままでは恥ずかしいのか、急に降りるとアルベルトの手を引いてレーナに近づいていく。

「レーナ、僕のパパなんだ! どう? かっこいいでしょ! 海の向こうにも連れて行ってくれるんだって!」

 よほどアルベルトを自慢したかったのか、レーナを前にしたリヒトはいつも以上におしゃべりになっていた。

「丘の上のホテルでね、一緒に泊ったんだよ!」
「リヒト!」

 誤解を生みかねない話につい大きな声をだしてしまう。けれど、ソフィアの反応を見たレティは「あら、まぁ!」といかにもアルベルトと一緒の部屋に泊まったと勘違いをしているようだった。

 それに追い打ちをかけるように、アルベルトがレティに挨拶をする。

「こんにちは、リヒトの父でアルベルトと言います。事情があり迎えに来るのが遅くなりましたが、これからは僕が一緒にいるつもりです。リヒトがお世話になりました」
「いえいえ、うちは子どもが多いからね、リヒト君が一人増えたからって大した世話じゃなかったよ」
「レティさん、私、酒場で働くことを止めるので、今夜から夜の預かりは必要なくなりました。お礼はまた改めて持ってきますね」
「そんな、いいんだよぉ。しっかしソフィアさんも良かったね、こんなかっこいい人が夫なら、確かに誰も目に入らないわけだ」

< 182 / 231 >

この作品をシェア

pagetop