結ばれないはずが、一途な彼に愛を貫かれました ~裏切りと再会のシークレット・ベビー・ラブ~
「はーい、って、ソフィアか。今日はどうした?」
「あの、今日は……」

 ソフィアに声をかけたジミーは、後ろに立つ人物を見て目を広げる。「うっ、げへっ?」と訳の分からない声を出した後、慌てて髪をかき上げながら声を上げた。

「ソ、ソフィアっ、どっ、どうしてヘザーズの社長さんと一緒なんだ?」
「こんにちは、君がジミー君か。ソフィアが世話になっているね」

 ソフィアはジミーのことを『信頼できる友達』だと伝えておいたが、アルベルトは疑っていた。本人に会うと顔は笑っているが目が笑っていない。だが大人同士の二人はにこやかに手を出しあって握手をした。

「はっ、はい。ジミー・レッドロックスです。親父は今出かけていて……、今は俺しかいません」
「君に用事があってきたからいいんだ、中に入らせてもらうよ」
「はいっ!」

 普段のおちゃらけたジミーとは打って変わったように真面目な態度でアルベルトを迎え入れる。アルベルトもソフィアの前とは違い、わざと低い声を出して威厳ある態度をしながら対応している。

「あの、それでご用件とは何でしょうか」

 緊張した面持ちのジミーがアルベルトに問うと、すかさずソフィアがそれに答える。何といっても、ソフィアの納品した作品のことだから、自分で話したかった。

「あの、この前ジミーに私が作った作品を渡したでしょ。それを買い取りたいと言われたの」
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