結ばれないはずが、一途な彼に愛を貫かれました ~裏切りと再会のシークレット・ベビー・ラブ~

夜の海でデート

 夜も更けてくると、ソフィアはリヒトをホテルのベッドに寝かしつけた。酒場には既にアルベルトの部下から連絡が行っているはずだが、やはり自分でもしっかりと店主や料理長に辞める挨拶をしておきたかった。

「リヒトが部屋で一人になってしまうけど、大丈夫かな」
「心配なら部下を呼んでおくよ。泊まりの者が何人かいるから、その者が部屋にいるように手配しよう」
「ありがとう、それなら出かけられるわね」

 二人は街の中心部にある酒場の近くまで馬車で移動すると、少し離れた所に停めた。繁華街とあって夜でも人が歩いている。ソフィアにしてみれば、いつもの職場への道だった。

「あの、驚かないでね。本当にただの酒場だから」
「あぁ、わかってる」

 そう言いながらも既に不機嫌な顔をしたアルベルトが、ソフィアにぴったりと寄り添っている。しばらく歩くと、半地下になっているホールに入るための青い木の扉が見えた。

「ここなの」
「そうか」

 ムスッとした顔のまま、扉を開けて中に入っていくソフィアの後をアルベルトがついていく。いらっしゃいませ、と声をかけられたところで、ソフィアを見かけた店長が驚いた顔をした。

「ソフィア、どうした? 今日からもう辞めるって連絡が来たが、何かあったのか?」
「あの、その、実は」
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