結ばれないはずが、一途な彼に愛を貫かれました ~裏切りと再会のシークレット・ベビー・ラブ~
「僕はね、ソフィア。君にずっと助けられていたんだ」
「アル? 私が?」
「あぁ、六年前の僕は貴族として生きることも、兄を手伝って会社を手伝うことも、何もかもが嫌で絵を描くことに逃げていた。それを、君が僕のこころに光を当ててくれたんだ」
「私が? 何かした?」

 顔を傾げたソフィアに、アルベルトは「特別何かをしたわけじゃないよ」とゆるく頭を振った。

「君が、僕の存在を全て受け止めて愛してくれた。そのことだけで、僕のこころは満たされて前を向くことができた。君を忘れていた期間も、どうしても『愛する人』を思い出したいと思っていた。だから、辛くても踏ん張ることができたんだ」

 アルベルトはふわりと笑うと、ソフィアの頬にかかった髪を耳にかけた。

「君は、僕にとっての光だ。だから、子どもの名前がリヒトだと知った時は、本当に嬉しかったよ。リヒトって、光って言う意味だろう?」
「えぇ、あなたの言葉が忘れられなかったの。だから、その名前にしたの。今では、リヒトは私の大切な光よ」
「ソフィア、今からリヒトは二人の光だよ」

 アルベルトの顔が近づく気配がすると、ソフィアは目を瞑った。頬に彼の唇が触れると、次は唇に軽く当たる。離れた次の瞬間に、アルベルトは強い力で抱きしめるとソフィアの肩に頭をおき、喉を絞るようにして声をだした。

「愛してる、ソフィア」

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