結ばれないはずが、一途な彼に愛を貫かれました ～裏切りと再会のシークレット・ベビー・ラブ～

第四章

穏やかな日々

それからの日々は、ソフィアが思っていたよりも穏やかなものだった。酒場で働くことを止めたことで夜の時間ができ、ソフィアはリヒトと過ごす時間が増えていた。

ただ変わったこともある。雑貨店を閉めた後はホテルに行くと、アルベルトと一緒に夕食を取りそのまま泊まって朝食を食べることだった。

　アルベルトも仕事を抱えているため、昼間は忙しそうにしている。だから、せめて夕食と朝食の時間は一緒に過ごしたいと言われ、ソフィアも了承した。何といっても、リヒトがアルベルトに会いたいと言ってきかなかった。

　これまでの長い空白を埋めるように、アルベルトはリヒトがいる時間は一緒に遊んでいる。さすがに膝の上に乗せて食事をするのは止めさせたが、甲斐甲斐しく肉や野菜を小さく切り分けてリヒトの口まで運んでいる姿をみるとほほえましい。アルベルトに慣れてきたリヒトも、彼に甘え口を大きく広げてパクっと食べている。

　ホテルに泊まるようになってしばらくしたある日の朝食の場で、アルベルトは嬉しそうに顔をほころばせた。今日はえびがゴロッと入ったシーフードリゾットが用意されている。えびはリヒトの大好物だ。

「リヒトはたくさん食べるようになってきたな」
「えぇ、これじゃ私の料理なんて、もう食べないかもしれない」