結ばれないはずが、一途な彼に愛を貫かれました ～裏切りと再会のシークレット・ベビー・ラブ～

　ソフィアは自分でも驚くほどの強引さで、彼を別荘に招いた。アルベルトは画板を片付けると肩に背負い、ぽたぽたと水を滴らせながら隣を歩いてくる。

　ソフィアは隣を歩く長身のアルベルトを嬉しく思いながら、燃えるような紅色をしたブーゲンビリアの咲き誇る別荘の門を開けた。





「まっ、まぁ！　お嬢さま！　おかえりなさいませ」
「ミリー、急いで浴室にお湯をはってくれる？　この方はアルベルトさんと言って、風に飛ばされたお母様の帽子を海の中に入ってとってくださったの」

　ミリーはソフィアの隣に立つずぶ濡れのアルベルトを見ると、一瞬驚いたような顔をするがすぐに準備のために奥に行く。ソフィアはとりあえず拭くものだけでも、と思い浴布を持ってきてアルベルトに渡した。

「もうすぐ用意できるから、画材はこちらに置いて、それから」
「ありがとう、ソフィアも落ち着いて。さっき、あんなに泣いたんだから、温かい紅茶でも飲んだ方がいいよ」
「え、あ、そうね」

　アルベルトに指摘されて、ようやくソフィアもソファーに座る。そのうちに浴室の準備ができたため、アルベルトはそちらに向かって歩いていく。

「はぁ」