結ばれないはずが、一途な彼に愛を貫かれました ～裏切りと再会のシークレット・ベビー・ラブ～

　口角を変えながら、何度も触れるように口づけた後は舌先で歯列をなぞる。誘い出されるように舌を吸われ、逃げると追いかけられる。だんだんと長く深くなっていく口づけにソフィアは翻弄されていた。

密着した体からは、いつも体温以上の熱を感じるけれど——、アルベルトはそれ以上進めることはなかった。

「アルベルト、私……」
「答えを焦らなくていいよ。僕たちはやっと会えたんだから、お互いを知り合う時間を持とう」
「アル」

　ソフィアが顔を上げると、アルベルトはそういえば、と言って微笑みながらソフィアを驚かせることを口にした。

「ソフィア、ここの滞在が長くなりそうだから、家を購入しようと思うんだ」
「えっ、家を？」

　アルベルトはセイリュースに滞在用の家を購入して、そこに仕事部屋を持ちたいということだった。ホテル住まいも便利だけれど、リヒトの生活を考えると一つの家で一緒に過ごしたい。もちろん、これには賛成だけれど本当にいいのだろうか。

「セイリュースに別荘を一つくらい持ってもいいと思うから、余計な心配はしなくていいよ」
「うん、あなたがいいのなら、嬉しいけど」

　数日後、ソフィアはアルベルトが購入した家を見て驚いてしまう。それは二人にとって思い出深いグレーン男爵の別荘だった。