結ばれないはずが、一途な彼に愛を貫かれました ~裏切りと再会のシークレット・ベビー・ラブ~
 ミレーのように古参の侍女はたとえ薄給となっても残っているが、使用人たちも次々と辞めていったという。

「では、お父様は……、ここをアルベルトが購入して私が住むことは知らないのね」
「えぇ。私もこちらに来てから、詳しい説明がされたところです。それで、お嬢さまがいらっしゃると聞き、驚いたところです」
「そうなのね」

 別荘の手入れがされていたのは、どうやら早く売却したかった為だという。他の人の手に渡る前に、アルベルトが早めに購入してくれて良かったと、ソフィアは改めて感謝するしかない。

「でも、お嬢さま。アルベルト様とは、一体どういう関係なのですか? ご結婚されているかと思えば、されていないと聞きましたよ」
「そうなの、実はね……」

 ソフィアはこれまでの葛藤を含め、アルベルトに起きたことをかいつまんで話した。話の中で彼がヘザー侯爵子息だと聞きミレーはさすがに驚いてしまうが、六年前にプロポーズされていたことを聞いてどこか納得したようだった。

「そうですよね、お嬢さまがただの行きずりの男に身体を許すとは思えませんでしたので」
「あの時は、きちんと話しておけば良かったのよね。赤ちゃんを中絶したくないなら、お父様にもっと交渉すれば良かったんだけど、私も若かったと思うわ」
「それでも、これからどうなさるおつもりですか?」
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