結ばれないはずが、一途な彼に愛を貫かれました ~裏切りと再会のシークレット・ベビー・ラブ~
「アルベルトには、きちんと答えようと思っているわ。ここまで良くしてくれる人なんて、他にいないもの」

 ミレーはソフィアの答えを聞くと、安心したようにホッと息をついた。

「えぇ、それがいいと思いますよ。よろしければ、リヒトお坊ちゃまは私が見ますので、夕方にはお二人で海岸でも散歩して来てください。大切な話があると言えば、アルベルト様もおつきあいくださるでしょう」
「ありがとう、ミレー。それじゃ、ちょっといいかしら」

 ソフィアはミレーにお願いをすると、裁縫道具を持ちだして部屋に籠る。リヒトはミレーにくっついて掃除をしたり、時折ソフィアの近くに来て遊んでいる。ソフィアは夕方までに仕上げてしまおうと、集中して針を持ち刺繍を刺した。

 日の暮れる前に帰って来たアルベルトを散歩に誘うと、彼は嬉しそうに頬をほころばせて頷いた。





 二人きりになると、アルベルトはソフィアの手を握り指を絡ませて歩く。夕焼けの迫る海岸線を、いつものように手を繋げた二人は、初めて出会った大きな木の下まで歩いて来た。

 ソフィアはアルベルトを見上げると、持っていた包みを開けて差し出した。

「アルベルト、あのね、今日はハンカチに刺繍してみたの」

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