結ばれないはずが、一途な彼に愛を貫かれました ~裏切りと再会のシークレット・ベビー・ラブ~

家族で過ごす

 別荘に帰って来ると必ずアルベルトはソフィアを抱き寄せ、頬にキスをする。その次にリヒトを抱きあげておしゃべりをするのが常となった。

「パパ、今日は何のプレゼントがあるの?」
「今日はリヒトに新しいクレヨンを買ってきたよ」
「わぁ、やったぁ!」

 アルベルトの部下が、持っている鞄の中からきれいに包装された箱を取り出すと、それをリヒトに渡す。

「ほら、開けてごらん」
「凄い! ママ! たくさんの色があるよ!」

 普段使っている十二色のクレヨンの倍の、二十四色も揃ったクレヨンセットだった。真っ白なスケッチブックもついていた。リヒトも今では真っ白い紙におもいっきり絵を描けるようになって、とても喜んでいる。

「もう、また買ってばっかり……」
「はい、奥さんにはこちらを」

 アルベルトはハイビスカスの鉢植えを持っていた。赤い花が印象的で、中庭に植えたいと言っていたのを覚えていてくれたようだ。

「まぁ、今日は鉢植えなのね! 良かったわ、ありがとう」

 引っ越してきて以来、アルベルトは毎日花束を買ってはソフィアにプレゼントをしていた。最初は嬉しかったけれど、さすがに毎日となると飾るところも限られてくる。切り花よりも鉢植えの花の方が楽しみが長続きするから、そうして欲しいと伝えると早速鉢植えに切り替えてくれた。

 それでも、どこかで止めないときっと庭が鉢植えで埋まってしまうだろう。
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