結ばれないはずが、一途な彼に愛を貫かれました ~裏切りと再会のシークレット・ベビー・ラブ~
「アルベルト! 本当に? そんなことができるの?」

 ソフィアは半分信じられない思いだったが、アルベルトは早急にすべてをやり遂げてしまい——、エルーサの会社にナード糸の製糸の権利を渡したのだった。

 今ではナード畑も増え、収穫の時期に製糸工場も稼働するところまできている。エルーサは一気に忙しくなっていたが、やる気に溢れ女社長として活躍している。

 ソフィアが事務所に到着すると、エルーサが嬉しそうに微笑んで迎え入れた。

「まさか、ソフィアのおかげで会社がこんなに大きくなるとは思ってもいなかったよ」
「あら、エルーサの手腕でもあるのよ。アルベルトが感心していたわ」
「そう言って貰えると光栄だね、ヘザーズの社長に認めて貰えるなんて、滅多にないからね」

 ようやくエルーサにも恩を返すことができそうで、ソフィアは嬉しかった。今は流行の帽子や服を扱っているから、なるべく店の商品を着て出歩いて欲しいと頼まれている。いわばソフィアが広告塔代わりだ。

「でも、ソフィア。本当に良かったわね、あの濡れネズミだったあなたが、まさか侯爵夫人になるなんてね」
「そうね、私も驚いているわ」
「でもまた、ソフィアの作ったサンドイッチが恋しくなるのかもしれないわね」
「塩しか振っていないサラダもでしょ」
「違いない!」

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