結ばれないはずが、一途な彼に愛を貫かれました ~裏切りと再会のシークレット・ベビー・ラブ~
 最近、ソフィアは母親たちを集め、その中でも指導力のある人物を選び、彼女達に集中してレース編みを指導している。アルベルトから、今後は指導者を育成した方がいいとアドバイスされたからだ。今後は十分に技術を磨いた彼女達が、素人の母親たちを指導していくだろう。

 ナード糸でできた手芸品、とくにソフィアが作った作品を差別化して、値段を上げようと言ったのもアルベルトだ。彼によるとナード糸製品のブランド化を目指す、ということだった。ナード糸の供給を増やすだけでなく、製品自体の価格上昇と販路の拡大、それに伴うブランド戦略と難しいことをいろいろと説明されたけれど、その辺りはエルーサに任せている。

 ソフィアは今、自分の好きなレース編みに集中できる生活が嬉しかった。そして隣には愛しいアルベルトがいて、リヒトがいる。

 この六年間の苦労が嘘のように思える今、ソフィアはかつての自分と同じような境遇の女性を支援したいと思っていた。今日はそのことの相談のためにエルーサの事務所を訪れていた。

「ソフィアの働いた分のお給料もあるんだから、それを基金にしたらいいんだよ。アルベルトに頼らなくても、ソフィアの力でできることをしたらいい」
「そうね、エルーサにそう言って貰えるなら、出来そうな気がしてきたわ」

< 218 / 231 >

この作品をシェア

pagetop