結ばれないはずが、一途な彼に愛を貫かれました ~裏切りと再会のシークレット・ベビー・ラブ~

王都で

「おじぃちゃんに、おばぁちゃん」
「そうよ、会った時はきちんと挨拶しましょうね」

 リヒトは一気に身体が成長し、これまでの服もすぐに着ることができなくなった。アルベルトは品質のいい新品の服ばかりを買って来てしまうから、ソフィアはどうしたら浪費しないでいられるのか、頭を悩ませるくらいだ。アルベルトにしてみれば、六年間何もできなかった負い目もあるのか、ソフィアやリヒトが欲しいと思ったものは全て取り寄せないと気が済まないようだった。

 アルベルトの大切な両親なのだから、リヒトが癒しとなるのであれば協力したい。ソフィアの方はまだ父親へのわだかまりも残るため、今回は手紙だけで済ませるつもりだった。

「僕の両親だけでいいのか? 君の方も、お兄さんは隣国に行ってしまっているが、男爵のお見舞いをできる時間はあるんだよ」
「分かっているけど……、まだうまく整理ができなくて。父のせいで家を飛び出してしまったわけだから」
「そうだね、僕も責任のあることだから、時間をかけて一緒に解していこう」

 ソフィアはうん、と小さく頷いた。





 王宮でのパーティーは、豪華なシャンデリアの輝く広間で開催された。今回は王室御用達の職人たちと、そのパートナーが招かれている。夜の開催なのでリヒトは侯爵邸でミレーと一緒に留守番をしている。

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