結ばれないはずが、一途な彼に愛を貫かれました ~裏切りと再会のシークレット・ベビー・ラブ~
「僕を陥れただけでなく、お前には兄の殺害容疑もかかっていた。あの時、兄が馬に乗る前に二人が言い争っていたという証言もある。おおかた妊娠の偽装が兄にばれたお前のしたことだろう、愚かな女め。ソフィアを殺めようとしたことと同時に、今度こそお前の全ての罪を裁いて貰うからな」
「ふんっ、そんな昔のこと、だれが話すもんかっ!」

 アルベルトは短銃を胸につけているホルダーにしまいながら、ローズに言った。

「ローズ、今はうそ発見器という便利な道具が開発されたらしい。電流を使うようだが、お前がどこまで耐えられるか見ものだな」
「アルベルトっ!」
「憲兵、もう連れていけ」
「はっ、閣下」

 何度も名前を叫ぶ彼女に見向きもせず、アルベルトはソフィアの震える肩を抱き寄せた。両方の手首を縄で絞められたローズが、広間の隅の方を連れられて行く。

「ソフィア、すまなかった。君を一人にしてしまって」
「アル、アルベルトっ!」

 ソフィアはアルベルトの広い胸に顔を寄せた。シダーウッドの香りと共に、アルベルトの力強い腕がソフィアを覆うと、ようやく心臓が落ち着きを取り戻していく。

「怖かった、もうダメかと思って」
「すまない、ローズが入り込んだと報告があって探していた。本当は君に知らせずに処理するつもりだったんだが……、きっと新聞でソフィアのことを知ったんだろう」
「アルベルト」
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