結ばれないはずが、一途な彼に愛を貫かれました ~裏切りと再会のシークレット・ベビー・ラブ~
「あなたの編まれたものは手触りも光沢も良く、とっても温かいわ。これからも、いい作品をつくってくださいね。楽しみにしています」
「はい、妃陛下。おことばありがとうございました」

 カーテシーをしようとしたソフィアを止めるように王妃は近づくと、両手を出してソフィアの手を握りしめた。

「これは、握手って言うらしいわね。一度してみたかったの」

 微笑んだ王妃につられて、ソフィアも笑顔を返す。その瞬間、眩しいフラッシュが焚かれその場面が写真に撮られた。まさか翌朝にはその写真が新聞の一面を飾ることになるとは、ソフィアは思いもしなかった。

 時代も王族も変わろうとしている。貴族も女性も変化の時代に入ったことを象徴する記事であった。
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