結ばれないはずが、一途な彼に愛を貫かれました ~裏切りと再会のシークレット・ベビー・ラブ~
 ミリーは料理を用意するためにキッチンへ向かった。ソフィアがイスに座ろうとすると、それに気がついたアルベルトが後ろに立ってイスをひく。

「どうぞ、お嬢さま」
「あ、ありがとう」

 レディーファーストのマナーの一つだけれど、どこか気恥ずかしい。アルベルトはソフィアが座るのを待ってから、向かい側の席に座る。一連の動作が全てスマートで、無駄のない動きだった。

「さっきは、帽子をとってくれて本当にありがとう。あれは、亡くなった母の帽子でとても大切なものだったの」
「どういたしまして。君の大切なものを守ることができて、よかったよ」

 二人は会話を弾ませて温かい昼食をとった。急ごしらえにしては、豪華な料理が用意された。茹でたての蟹やロブスターに貝を白ワインで蒸したパスタ、彩りよく盛り付けられたエビのカクテルなど、海に近いセイリュースならではのシーフード料理が並んでいる。

「今日は海のものばっかりだっけど、大丈夫だった?」
「セイリュースは魚介類が豊富なんだね」
「本当はワインも出した方がいいのかもしれないけど、ミレーがまだ飲んではダメだって言うから、置いてないの」
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