結ばれないはずが、一途な彼に愛を貫かれました ~裏切りと再会のシークレット・ベビー・ラブ~
「そうなんだね、でもワインがなくても十分美味しかったよ」

時間は飛ぶように過ぎていき、アルベルトは食事を全て平らげてしまう。ソフィアは食後に出された桃のコンポートを食べながら、さりげなくアルベルトを観察した。

(そういえばアルベルトは、どこでマナーを習ったんだろう?)

彼が食事を食べる所作は美しく、カトラリーの順番も間違えない。器用にフォークを使って蟹を食べていたから、付け焼刃ではこうはいかない。

 アルベルトが普段から身に着けている物はシンプルだけど、靴は上等な革靴を履いているし、高級そうな絵具をたくさん揃えている。

 絵描きの卵なら、描いた絵が高額で売れることもない。でも彼はお金に困っている感じが全くしなかった。

「アルベルトはもしかして……、貴族と同じ教育を受けたことがあるの?」

 何気ないソフィアの質問を聞いたアルベルトは、一瞬顔の表情を失くして口を閉じた。

「あ、あぁ。今お世話になっているパトロンがマナーにうるさい人だから……」
「そうなのね」

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