結ばれないはずが、一途な彼に愛を貫かれました ~裏切りと再会のシークレット・ベビー・ラブ~
 そう聞けば別に何の不思議もない。多くの絵描きは特定の貴族にパトロンとなって貰い、絵を描くことに集中する。アルベルトもきっとその才能を評価されたのだろう。

「でもアルベルトは私ばっかり描いているけれど、パトロンの方は大丈夫なの?」
「それは構わない。実は君の肖像画を油絵で描きたいのだけど、この家に僕が通うことはできるかな」
「私の肖像画を?」
「あぁ。一度人物画をじっくり描きたかったんだ。君の珊瑚色の髪はとても綺麗だし、もし君が良ければだけど」
「アルベルトが、私を描いてくれる、の?」

 彼の絵のモデルとなれば、またしばらく一緒にいられる。この家であれば、日差しを気にすることなくもっと長い時間、一緒にいることができる。

「え、えぇ。ミリーに確認するけれど、大丈夫だと思うわ」
「やった! 嬉しいよ。では早速明日から用意して来ていいかな」
「わかったわ」

 ソフィアはアルベルトからの思わぬ提案に、嬉しさが胸いっぱいに溢れてくるようであった。





 だが夕食時に、ソフィアはアルベルトのことについてミリーから問い詰められてしまう。

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