結ばれないはずが、一途な彼に愛を貫かれました ～裏切りと再会のシークレット・ベビー・ラブ～

「お嬢さま、もしかしてアルベルトさんのことを男性としてみておられるのですか？」
「なっ、彼はただの絵描きよ」
「あんなにも洗練されていて、美丈夫な絵描きの方と二人で過ごされるというのは……」
「だったら何が問題なのよ」
「よくない噂が流れますと、お嬢さまの結婚に差し障ってしまいます」

　はぁ、とソフィアはため息をついた。ミリーの言いたいことはわかっている。アルベルトに肖像画を描いて貰うのはともかく、彼がどこかでソフィアの別荘に籠って絵を描いたと話した場合、あらぬことを想像されてしまう可能性があった。

「でも、昼間ならこの家にも召使は通ってくるし、ミリーもいるのよ。間違いなんておきることないから、言いたい人には言わせておけばいいのよ」
「そんなものでしょうか」
「大丈夫よ。何かあれば人を呼ぶわ。心配なら一緒の部屋にいて見張っていて」

　しぶしぶ、といった体でミリーは了承した。ソフィアの動向をみているようにと男爵から頼まれていたミリーは、このことを男爵に伝えようかどうしようかと悩んでしまう。そのことを察したソフィアは、ミリーにくぎを刺すように話した。