結ばれないはずが、一途な彼に愛を貫かれました ~裏切りと再会のシークレット・ベビー・ラブ~
肖像画
「ソフィアがくつろげる姿勢がないかな。普段、家にいる時は何をしている?」
「ええと、レース編みをしていることが多いかな」
「よし、じゃあレース編みをしたらいいよ。自然な姿のソフィアが描きたいんだ」
結局、部屋にはソフィアのお気に入りのロッキングチェアを持ち込んで、いつも通りにレース編みをすることになった。描かれている間、時間がかかりそうだったから大判のショールを編んでみようと挑戦する日々が始まった。
それでも、普段と違い顔を上げると紺碧の海のような髪が目に入ってくる。この夏の間だけでも、彼のことを想って過ごしたい。ソフィアはアルベルトを好きになる気持ちをもう、抑えようとはしなかった。
アルベルトの瞳も、時折ハッとするほど鋭くソフィアを見つめている。まるで獣に狙われた羊のように、ソフィアは背中をゾクリとさせながら見つめ返した。視線が絡み合うけれど、二人の間には言葉が存在しなかった。ただ、カリカリと筆を走らせる音だけが部屋の中にあるだけだった。
アルベルトが毎日別荘に通うようになってしばらくたった頃、ぐーっと伸びをした彼はソフィアを誘い出した。