結ばれないはずが、一途な彼に愛を貫かれました ~裏切りと再会のシークレット・ベビー・ラブ~
 思わず顔が赤くなって言葉がでない。恥ずかしくて手をひっこめようとしても、アルベルトは離さないばかりか砂浜に降りようと誘ってくる。

「アル?」

 海岸から砂浜の方に向かうと、引いては寄せる波の音が良く聞こえてくる。ずんずんと波打ち際まで来ると、アルベルトは靴を脱ぎ始めズボンの裾を折り曲げた。

「ほら、君もサンダルを脱いで」

 言われるままに素足になると、昼間に太陽を浴びた砂が温かい。アルベルトの後について波の寄せるところまで来ると、ザーッという音と一緒に引いていた波が予想以上のスピードでやってくる。スカートが濡れないように端を両手でそっと持ち上げた。

下を見ていると、砂浜に置いた足の上を水が泳いでいく。何もしていないのに、砂に埋もれた足が冷たくてこそばゆい。

反対に波が引いていく時は、スピードを上げて奥へ奥へと誘っているようだ。リズミカルに寄せては帰っていく波に慣れた頃にアルベルトを見上げると、ソフィアのはしゃいだ姿を微笑みながら見ていた。

「アルっ、すごいわ! 波ってこんなにも力強いのね」
「あぁ、凄いだろう?」
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