結ばれないはずが、一途な彼に愛を貫かれました ~裏切りと再会のシークレット・ベビー・ラブ~
 儲ける必要のないソフィアだったので、値段を抑えようとしたら店主のエルーサに止められた。彼女が言うには、他の作品との兼ね合いもあるからそれなりの値段をつけないといけないようだ。

 最近は散歩を兼ねて、エルーサの店を訪ねて売れ行きを確認するのがソフィアの楽しみだった。

(今日はちょっと寄り道していこう)

 普段と違い、紺碧の海が遠くまで見える海沿いの道を歩いていく。涼しい風が頬をなでるように吹くと、雑然とうるさい車の走る王都とは違い、空気も綺麗で潮風が心地よい。

 避暑に訪れる人の為に整備された道は白い石が敷かれていて歩きやすい。手芸のために、つい別荘に籠り勝ちになってしまうソフィアはなるべく外出して歩くようにしていた。

(あ、珍しい。だれかいる)

緩やかなカーブを曲がった先の大きな木の陰に、灰色のベストを着た青年が立っていた。

< 4 / 231 >

この作品をシェア

pagetop