結ばれないはずが、一途な彼に愛を貫かれました ~裏切りと再会のシークレット・ベビー・ラブ~
「えぇ、あなたとの結婚を父が許すとは思えないわ」
「では、もし僕が実は貴族で、君の父上よりも爵位が上の家だとしたら……どう思う?」
「あなたが貴族なら、父は喜んで賛成してくれるでしょうね」
「そうか、ならこれを見て欲しい」

 アルベルトは胸のポケットから金色に光る指輪を取り出した。よく見ると家紋のような印が刻印されている。

「これは、僕の家であるヘザー侯爵家の印なんだ」
「ヘザー……、侯爵家?」
「黙っていてすまない。父からは家名を言わないことを条件に、絵描きとして旅をすることを許されていたから今まで言えなかったんだ」

 なんてことだろう、ヘザー侯爵家といえば王都でも実力のある貴族の一つだ。その家の子息がこんな海辺の街にいて、毎日絵を描いていると誰が想像できるだろう。あまりにも意外なことにソフィアは驚きを隠せなかった。

「ヘザー侯爵家といっても、僕は次男だから兄が後を継ぐことになっている。だから、ありがたいことに自由にさせてもらっていた。とはいっても、君と結婚するには一度家に戻り、正式な形で君に求婚したいと思っている」
「アルベルト!」

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