結ばれないはずが、一途な彼に愛を貫かれました ~裏切りと再会のシークレット・ベビー・ラブ~
 ソフィアは思いがけない事実に思わずアルベルトに抱き着いた。身分差がなければ、彼が貴族であったら良かったのにと、何度願ったことか。それが現実となり、嬉しさで胸がいっぱいになる。

「アルベルト、えぇ、待つわ。私、あなたと結婚したい」
「ソフィア……」

アルベルトは紺碧の瞳でソフィアを射るような視線で見つめると、そっとソフィアの顎を上げた。キスをするいつもの合図だ。ソフィアはそっと瞼を閉じると、厚い唇が落ちてくる。

 トントン、と舌先で唇をノックされソフィア小さく口を開けると、アルベルトの性急な舌先が入り込んでくる。ソフィアの舌が逃げれば追いかけて、捕まえる。絡まる舌先から伝わる熱に翻弄されながら、ソフィアは幸せな気持ちに酔いしれた。

「あぁ、ソフィア。愛しているよ」
「アルベルト、私も、私も愛しているわ」

 二人は愛の言葉を交わし合うと、アルベルトはソフィアの細い手をとり、ずっしりと重い金の指輪を親指にはめた。

「これは男物だけど、伴侶と決めた相手に渡す伝統がヘザー家にあるんだ。だから、君に渡すよ」
「そんな大切なものを、私が持っていてもいいの?」
< 42 / 231 >

この作品をシェア

pagetop