結ばれないはずが、一途な彼に愛を貫かれました ~裏切りと再会のシークレット・ベビー・ラブ~
「あぁ、預かって欲しい。次に会う時にはソフィアにぴったりな結婚指輪をもってくるから、それと交換しようか」
「あぁ、アル!」

 胸がいっぱいになって声が出なくなる。ソフィアは顔をアルベルトの肩にもたれさせ、二人はいつか訪れる幸せな未来を思い描いていた。





 しばらくすると、ごうっという音と共に外は嵐の前兆のような風が吹き始めた。

「ミリーは遅いわね。台風が近づいてきたから、帰ることができなくなったのかしら」
「そうだね、今朝はあんなにも晴れていい天気だったのに」

 夏の風物詩でもある台風が近づいていた。ソフィアは通いで来ている使用人たちを早めに返すと、別荘にはアルベルトと二人きりになる。アルベルトはミリーの無事を確認するまでは残るよ、といって一緒に待つことになった。

時間がたつにつれ、だんだんと暴風が酷くなっていく。屋敷の雨戸を全て閉めて殴りつけるような雨に備える。

ガタガタ、ガタガタと風で庭の木が揺れ始めた。王都に住んでいるとこれほど大きな台風を経験することはないから、いろいろなことが心配になってくる。

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