結ばれないはずが、一途な彼に愛を貫かれました ~裏切りと再会のシークレット・ベビー・ラブ~
(きっと、何か連絡のとれない状況になっているだけよ。アルベルトを信じなきゃ……)

大貴族の結婚となると時間がかかるかもしれないが、生まれてくる子にはアルベルトがパパで、ソフィアがママだと伝えたい。複雑な表情をして俯いたソフィアを見た医師は、感情を殺したような声で伝えてくる。

「では、このことは私から男爵に伝えさせていただきます」
「はい、……お願いします」

医師は診察が終わると静かに部屋を出ていった。止めたくても、父に報告することは彼の仕事なのだから断ることはできない。ソフィアはこれから起こるであろう騒動を思うとたまらなくなり、俯いたままため息をついた。





 しばらくすると、予想通り半狂乱した父が枕元にやってきた。医師から妊娠のことを聞き、ものすごく怒っている。

「今更お前の愚行を嘆いても仕方がないが、今すぐ相手の男のことを教えるんだ」
「アルベルトは、絵を描いていて知り合いました。でも彼は、ヘザー侯爵の次男と聞きました。私にすぐに求婚してくれるって」
「そんなバカなことがあるものか! 侯爵子息がどうして絵描きをしているのか!」

< 52 / 231 >

この作品をシェア

pagetop