結ばれないはずが、一途な彼に愛を貫かれました ~裏切りと再会のシークレット・ベビー・ラブ~
 伝えながらも涙が頬を流れ落ちるが、父の断罪は続く。ミリーがしきりに「あの時私がお止めしていれば」と口にしているが、父は「今更言ってももう遅い」と言ってソフィアを嬲るように文句を言う。

 信じて貰うために父に金の指輪を見せると、「こんな指輪一つで騙されおって、このバカ者が!」と怒鳴られる。カチャン、という音を立てて指輪が床に投げつけられた。

「ああっ、それはアルベルトから預かったものです!」
「ふん、そんな安物の指輪一つでお前は人生を棒に振ったんだぞ、いいか、これでもうお前には最良な結婚相手が来ると思うな。どれだけ隠しても、そうしたことは調べられるんだ。嫁入り前に孕んだような娘と結婚してくれる男がいるものか!」

 父は荒れて机をドン、と叩く。その音にソフィアはびくりと身体を震わせながら、床に落ちた指輪を探して拾うと、両手でギュッと握りしめた。

(アルベルトの大切な指輪を捨てるなんてできない!)

 たとえ安物であろうと、彼がソフィアに預けた指輪だ。これと結婚指輪を交換するから、持っていて欲しいと頼まれた大切なものだ。

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