結ばれないはずが、一途な彼に愛を貫かれました　～裏切りと再会のシークレット・ベビー・ラブ～
「まぁ、アルベルト。この国ではまだ女性が握手をする習慣がないのよ。ほら、固まってしまっているでしょ？　ごめんなさいね、この人ったらすぐに新しい習慣に手をだすのよ」

　ローズは口をとがらせると、アルベルトの耳元で何かを囁いていた。アルベルトも、ローズの方を向くと優しい目をして腰を抱いた。

「すみません、ローズは今身重なので少し疲れたようです。僕たちはこれで失礼しますので、どうぞゆっくりしてください」
「やだっ、アルベルトったら。恥ずかしいから言わないでって、言っているでしょ？」
「どうして？　僕たちへの素晴らしい贈り物だろう？」
「ふふっ、そうね」

　ソフィアの前で仲睦まじく過ごす二人は、振り返ることなく歩いていく。お互いを思いやるように寄り添う二人は、微笑みながらその場を去った。

　その場に一人残されたソフィアは、これが現実のものと思えなかった。恋焦がれたアルベルトが自分ではない女性に微笑み、そして相手を妊娠させていた。まだ、膨らみはなかったから自分と同じくらいの月齢だろう。

　ソフィアと別れた後に王都に戻り、そしてすぐローズと懇意になったということだ。

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