結ばれないはずが、一途な彼に愛を貫かれました ~裏切りと再会のシークレット・ベビー・ラブ~
「あの、私、絵のことって何も知らないの。本当にこれって何なの?」
「これは……、世界の真理をその、描こうと思って」
「え? 真理?」
「……そう」

 ソフィアは思わずぽかんと口を開けてしまう。まさか青年が哲学的なことを言ってくるとは思ってもいなかった。何の悩みも憂いもないような顔をしているのに、世界の真理を描こうとしているなんて。

「不思議な絵なのね」

 白いキャンバスに落書きしているようにも見えるが、青年にしてみれば真剣なのだろう。ソフィアは興味深そうに青年の描く絵を見続けた。

「君は、絵に興味があるの?」
「そういうわけじゃないけど……、このぐるぐるを模様にして編んでみようかな、と思って」
「模様にして編む?」

 今度は青年がソフィアをまじまじと見つめて来た。最初の時の、どこか熱を含んだ目とは違い好奇心を持って見つめてくる。

 ソフィアは手に持っていた鞄からレース編みのコースターを取り出すと青年に見せた。

「これはね、かぎ針で編んでいるの。いろんな模様があるのだけど、あなたの描いたこの模様も素敵だから、編めないかなと思って」
「これは凄い、精緻なレース編みだね」

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