星空
あたしは、濡れた髪で家を出た。


優夜は、もう先に行っている。


あたしは、少し前にいる優夜に向かって走った。


少しでも優夜に近づきたい…


…少しでも優夜との距離を縮めたかったの。


あたしは、夢中で走った。


『トンッ』


背中を軽く押す。


『ドクンッドクンッ』


ほら…優夜に少し触れただけでこんなにドキドキする…。


「おぅ。優美」


「えへへ。おはよっ」


「………まだ髪濡れてんな。
乾かしてこないと風邪引くぞ?」


「だ…だって、乾かしてる時間ないんだもん!!!」


『クシャッ』


優夜は、あたしの髪の毛をジャージの袖でクシャクシャッと拭いてくれた。


すっごく嬉しかったんだ。


あたしは、そっと顔を上げて優夜を見る。
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