君だから、好きなんだ。
恵太は顔は、イケメンだ。
女の私より、綺麗な肌をしていて、整った眉に綺麗な瞳と長いまつ毛。そしてサラサラの黒髪に、引き締まって均等のとれた身体…。
極めつけが180センチをこえる身長…。こんなに身長が高いのに、座ると座高が私と変わらないし、顔の大きさも私より小さい。
こんな男は、多分めったに見たことがないと思う。
私は幼馴染で、昔から見てたから耐性があるし、本性は、意地悪でイヤな奴ということも知ってるから私は何とも思わない。だけど、周りはそうは思ってくれない…。

「上谷くん!」

「…橘」

やばいっっ!キラキラガールのお出まし…。
「おはよう!ねぇ、今日の現国の勉強した?私、全然だめなんだっ、上谷くんのノート見せてくれない?」

そう言って、惠太を上目遣いで見ている。
ぶりっ子が服着て歩いているかのようだ。
朝から、スゴイな…。
前から、思ってたけど…よくあんな顔できるなぁ。
しかも恵太の前で…

「あ、悪い…ノート持ってきてないからっ。」

「えっ、そうなのっ?どうしよ〜、上谷くん!」

恵太の腕にさり気なく手を絡めようとした瞬間…
急に、恵太が私の腕を引っ張った。

「…芽衣っ!ちゃんと前見て歩けよなっ。」

「…え?!」

何?急に…っっ。しかも、いつもは「おいっ」とか「お前」とかしか言わないくせに…何で名前呼びなわけ?
そのまま、恵太は橘さんを無視するように、私を引っ張って歩き続ける。

「ブズ…っ、何で上谷くんといるの?本当っ、身の程を知ってほしいよね…鏡…見なさいよ」

私にしか聞こえないくらいの悪口…
聞こえてますよ。
そりゃ…
私だって、好きで一緒にいるわけじゃない。

橘 美咲(たちばな みさき)は、美人…。目鼻立ちがはっきりとしていて、綺麗な長い黒髪。
私とは正反対の女子。
まぁ、性格は、かなり悪そうだけど、恵太とお似合いだと思う。

「恵太、離して…。わ、私は早く行って…勉強するからさっ。」

そう言って、彼の手をゆっくりと振りほどく。

「…あ、おい…っ」

何か言おうとした彼の言葉を遮るように走り出した。
本当に嫌になる。
何で関係ない私を巻き込むの?

私は…スッピン眼鏡…ひっつめ髪で、顔は荒れてて最近ニキビまで出てるし…
スカート丈も長くて、最近3キロ太ったし、脚が太いのコンプレックスだし…
可愛いなんて言葉とは真逆…。

本当にブス。
知ってる。
知ってるから、放っといて。
言わなくてもわかってるから…傷口をこれ以上広げないでよ。

私達が一緒にいるのって…ただ幼馴染で家が隣同士だったから…
ただ…それだけの関係だ。


私は、恵太を好きじゃない。
あんなヤツ…
嫌いだよ。
そして…彼も私を嫌いなんだから。
昔…恵太は、私の事言ったんだ…

ブス…って。

だから、放っといてよ。
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