記憶喪失のお姫様は冒険者になりました
褒めてもらいたいから私は勉強も剣術も魔法も頑張ってきた。
国王などそんなことは頭にはなかった。
私の心にはいつも…"褒めて欲しい"。
ずっとそれしかなかった。
だから。
「国王になることを考えていなかった私よりもお兄様の方がずっとふさわしいと私は思います。お考え直しいただけないでしょうか?」
私の願いは…わがままだ。
お爺様は顎に手をあてた。
考えてくださっている。
私が今後何をしたらいいのかはわからない。
だけど…王位継承権や王族の勉強をしていきたいと思う。
「シュティーナの意見はわかった。シュティーナがお願いするのは久しぶりだな」
そう言ったお爺様の目はとても優しかった。
「……」
そしてお爺様は笑った。
「シュティーナの願いを叶えよう。バンルー・ウル・キャベン!」
お兄様は突然名を呼ばれ、ビクッとなったがすぐにお爺様の前へと行き、跪いた。
「はい」
とても緊張している様子だ。
「シュティーナの願いを叶え、貴様を王と認める。…シュティーナに感謝しろ」
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