記憶喪失のお姫様は冒険者になりました
突然、ミホナはそう切り出した。
「なんで?!」
と1番最初に言ったのはクロックスだ。
ふっ、さすがだね。
「いえ、冒険者になる条件だったんです。月に数回は家に顔を出すこと。あとは書類仕事とか…ですかね?」
そうミホナは言った。
ミホナの言葉にやっぱりお姫様なんだなと実感する。
クロックスをちらっと見ると、なんとも言えない表情だった。
「わかった……。何日くらい?」
「えっと…2日くらいかな」
そうミホナが答えるとクロックスは固まった。
きっと2日も?耐えられないとか考えてるんだろうね。
この2人を見てると毎日楽しいし、飽きないね。
「クロさんも一緒に行きますか?」
その提案にクロックスは目を輝かせた。
マジで行くつもりなのかい、こいつ?
私は死んでも王都に行きたくないね。
何があるかわからないから。
でもクロックスはそんなこと考えていないようだ。
考えているのはミホナと一緒にいることだけだった。
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