記憶喪失のお姫様は冒険者になりました

《…話？》
え？これって…。
「声が…聞こえる…」
ドラゴンの声が聞こえる。
直接頭に送られてくるみたいだ。
「私の…声が聞こえるのですか？」
《あぁ、聞こえる。恐らく、君が私のために助けようとしてくれているからなのだろう。それに君には生き物と会話できる力があるみたいだからな》
「会話…」
私の思いがドラゴンに伝わったってこと？
会話ができるのももしかしたら私の魔法創作で無意識に作ってしまったのかもしれない。
でもそれは好都合。
ドラゴンとお話できるということだ。
「ドラゴンさん、あの傷は…人間がつけたものですか？」
《…あぁ、そうだ。我が眠りに着いている時を狙ったのだろうな》
「…やっぱり、そう…だったのですね」
人間は生きるために…無関係な生き物を殺そうとする。
それはきっと同じ人間の私も…そうなのだろう。
「ドラゴンさん！同じ人間として謝罪させてください。この度は大変申し訳ありませんでした！」