記憶喪失のお姫様は冒険者になりました
「あり、がと…」
私がお礼を言うとミルフィーは勢いよく首を横に振った。
「お礼など必要ありません!守れず…申し訳ありません、お嬢様っ!」
ミルフィーは泣きながらそう言った。
あの場合は守れなくても仕方ない。
急だったもの。
「謝らないで…。ミルフィーは、なにも悪くないわ」
悪いのは全部私だ。
「…しばらく1人にしてくれる?」
「……かしこまりました」
そう言ってミルフィーは部屋の外へ行った。
「……うぅっ!!ひっく…」
必死に涙を…嗚咽を堪えながら私は泣いた。
誰にも聞こえないように。
誰にもバレないように。
お父様達はボロボロの私を見ても、何一つ心配してくれなかった。
それどころか私がやってもいないことをやったと信じ、私を殴ったりしていた。
暴力を振るわれ、罵倒され…。
私は生きてていいの?
生まれてきてよかったの?
「…もう、わからないや」
苦しい。
辛い。
もうこの環境から…。
「逃げたい」
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