記憶喪失のお姫様は冒険者になりました

そしてあとで教えてもらったところ、ギルドというのも近くにあるみたいだ。
本当に少し歩いてすぐにクロックスさんがあつも泊まっているという宿に着いた。
クロックスさんは入ってすぐに奥へ行き、誰かとお話しているみたいだった。
私は中にそろ〜っと入ると清潔感のある匂いがした。
ここに私がいるのはダメな気がするな……。
そう思ってしまう。
そして奥からお話を終えたであろうクロックスさんが戻ってきた。
その後ろには先程クロックスさんと話していた女の人も一緒だった。
黒色の瞳に茶色の髪。
長い髪はお団子にして綺麗にまとめられていた。
『紹介するよ。この人は俺がお世話になっているここの宿の女将さんのヴィーラさん』
そうクロックスさんは紹介してくれた。
私は自分の名前がわからないからどうしたらいいのかわからなかった。
そんな私に女将さんのヴィーラさんは…。
『よろしくね、お嬢ちゃん！私はここの女将のヴィーラだ！まあ女将とでも呼んでね！』
そう笑顔で言ってくれた。
私も微笑んで。
『はい、よろしくお願いします！えっと、女将さん！』