記憶喪失のお姫様は冒険者になりました
私がそう返すと女将さんはまた笑ってくれた。
……愛嬌があって、誰にでも分け隔てなく優しい方だなと思った。
そのあとすぐにお部屋へと案内された。
私とクロックスさんは隣同士だった。
階段を上がってすぐのところだ。
『じゃあ、ゆっくりしてってね!』
『ありがとうございます!』
私はぺこりと頭を下げた。
優しくて親切な人……!!
『それじゃ今後について少し話そう』
そうクロックスさんは言って、私はクロックスさんの部屋へと通された。
適当に座ってと言われたのでとりあえず床に座った。
すると、クロックスさんも私の隣…床に一緒に座った。
『まあ名前がないのは不便だから名前をまず決めよう!』
『!』
私はその提案にぶんぶんと勢いよく首を縦に振った。
名前については私も同じことを思っていた。
だからそう言って貰えて助かった。
でも名前か…。
名前はどうやって決めたらいいんだろう?
私にはわからないな。
私はチラッとクロックスさんの方を見た。
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