記憶喪失のお姫様は冒険者になりました
クロックスさんは私の視線に気がついたのか、下げていた顔を上げた。
そして私のことを見つめてから口を開いた。
『名前…ミホ、なんてのはどうかな?』
ミホ……。
私の心の中で何かがカチャリとハマったような気がした。
とても素敵な名前を貰えた。
『はい!それがいいです!!』
私はクロックスさんが付けてくれた"ミホ"という新しい名前を噛み締めた。
心の中で何回も"ミホ"と呼ぶ。
……いい、響きだな。
『よかった…』
『クロックスさん!ありがとう、ございます!』
私はクロックスさんにお礼を伝えた。
するとクロックスさんはなぜか顔を赤くした。
私はなぜ顔が赤くなったのかわからなかった。
『大丈夫ですか?』
私は首を傾げ、聞いた。
するとクロックスさんは手で顔を隠しながら『大丈夫』と震えながら答えた。
…私、何かおかしかったかな?
少しの不安は残ったがクロックスさんは話を変えた。
『クロックスは長いからクロでいいよ、ミホ』
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