記憶喪失のお姫様は冒険者になりました
最終章 お姫様は幸せを手に入れました
📖ミホとシュティーナ📖
クロックスside
ミホに初めて会ったのは王都の隣の町外れの森だった。
森の上には高い崖があり、その近くに流れが速い川がある。
とても危険なところだった。
そこにミホはいた。
ボロボロの姿で……。
でもハリのあるツヤツヤの桃色の髪に淡い桃色の瞳。
真っ白な肌に小さく華奢な体。
……可愛い。
はっ、じゃなくて!
『君、大丈夫?名前は?俺はクロックス!』
『な、まえ?えっと…』
その女の子は自分の名前がわからなかった。
名前も出身地も……。
帰る場所がなさそうだった。
さすがにこんなところに女の子1人にしておくのは危険だな。
だから俺は自分が泊まっている宿を紹介した。
宿に行く途中にある屋台を見て、楽しそうにはしゃいでいる姿を見て俺は自然と笑みが溢れていた。
宿を紹介してから今後のことについて話し合った。
そして名前も……。
『名前…ミホ、なんてのはどうかな?』
『はい!それがいいです!』