記憶喪失のお姫様は冒険者になりました
とても優しく、笑顔が似合う人だった。

『ドラゴンを逃がした冒険者を探してる?』 そう聞いた時、ミホを絶対に守らなければと思った。
ミホに別れを告げ、去ろうとした。
そんな俺にミホはーー。
『行かないで…クロさん……っ』
泣きながら必死に言ってくれた。
俺はミホを守りたかった。
だから……。
『…さよなら、ミホ』
また…会える日を心から願ってるよ。
そう……思っていたんだ。
なのに……。
『クロさんっ!!』
王都に着いて、俺は殺されるんだと思った。
だけど君はーー。
『どう……して』
ミホは息を切らしながらこちらにゆっくり歩いてきた。
どうしてミホがここにいるんだ?
それに着くのが早過ぎないか?
『剣をおさめなさい』
鋭い目つきでミホは騎士達を睨みつけた。
その立ち居振る舞い……まるで。
『大丈夫ですか?』
あの時のーー。
『手を上げろ!』
そう言って騎士達は剣をミホに突きつける。
『ミホ…逃げろ!』
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