記憶喪失のお姫様は冒険者になりました
ミホが……シュティーナ様?
俺は今の状況が理解できなかった。
そのあとも、淡々と話を進めていく……シュティーナ様。
ゆっくりと俺の方へと歩み寄るシュティーナ様。
『………クロさ……クロックス様、申し訳ありません』
もう……クロさんとは呼んでくれないのか?
……ミホ。
『いいえ、シュティーナ様。貴方様が謝る必要はございません』
俺はすっと跪いた。
『ありがとうございます、クロックス様』
その後、俺は少しボーッとしてしまっていた。
シュティーナ様はその間、騎士達にいろいろ指示していた。
俺はその姿をただ眺めていた。
『その方達を元の場所へ』
その言葉に騎士達は『はっ!』と返事をした。
俺はシュティーナ様から目が離せなかった。
シュティーナ様はチラッと俺の方を見て言った。
『…クロさん……お気をつけて』
そう……ミホは言った。
優しく、笑っていた。
でもその姿は……。
『……ミホ!!また……会える、よな?』
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