記憶喪失のお姫様は冒険者になりました
私もミルフィーの背にそっと手を回す。
「お帰りなさいませ、お嬢様」
そしてぎゅっと私はミルフィーを抱きめした。
「ただいま、ミルフィー!」
やっと…貴方に会えた。

あれから数十分して、私達は部屋へと移動した。
…これからの話などをしなくてはならない。
案内された部屋に足を踏み入れるとそこには。
「…どうして貴方達がここにいらっしゃるのですか?」
そこにいたのはーー。
『なんであんたみたいなのが生きてんの?』
『死ね!貴方さえいなければ私はあの人と…!』
あの日、私にやってもいない罪を被せた…リリー・メノア伯爵達だった。
そして学園の先生数名も。
「「「……」」」
私が質問しても皆は何一つ答えなかった。
ただ俯いていて、私と目を合わせないようにしているみたいだった。
…始めからやらなければいいのに。
私は心の中ではぁっとため息を吐いた。
私は座りたくないが仕方ないので席に着く。
「それでは話をしようか」
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