記憶喪失のお姫様は冒険者になりました
私はその謝罪に何も答えなかった。
あの時の傷は回復魔法 ヒールで治した。
でも…いくらヒールを使っても心の傷は治せない。
一生……癒えない傷。
「王族に暴力を振るうとは最悪死刑に値するぞ。シュティーナが許してもわしは許せんの」
「「「っ!!」」」
3人が息を呑んだ。
死刑と聞いて怖がっているのだろう。
王族に手を上げたんだもの。
仕方ないと言えば仕方ないことだ。
だけど……。
「お爺様」
私は重たい口を開いた。
お爺様は先程まで険しかった顔が嘘みたいに今は緩みきって笑っている。
「どうした、シュティーナ?」
私はチラッと3人の方を見てからお爺様に話をした。
「私は誰であれ、死刑は嫌だと思っています。なので死刑以外の判決をお願いのですが……ダメですか?」
私は遠慮がちにお爺様に言う。
お爺様は…。
「シュティーナよ!!なんと心優しいのだ!まあ、シュティーナがそう望むなら死刑はなしとしよう」
お爺様は頷きながらそう言った。
< 91 / 132 >

この作品をシェア

pagetop