ユウへ
別にまわりを騙すつもりはなかったのよ?

普通にお姉さんの友達として通っていて、いつの間にかそうなったから、言い出すきっかけがなかったの。

お父さんと、お母さんは自分の暮らしてる家族関係がうまくいってなくて、若さのパワーで駆け落ちしたわ。

少しずつ荷物を友達の家に運んで、偶然に先に駆け落ちしていた友達夫婦の協力を得て部屋を借りて、そこに荷物を移したの。

とは言っても、今では何を持って行ったかよく分からないわ。

お母さんは、白いドレッサーとか、アクセサリー、結婚したら使おうとためていた食器。

お父さんは、扇風機とテレビ。

月明かりに照らされた田んぼのあぜ道を14インチのテレビを抱えて抜け出したお父さんを乗せて、車は山を越え、BGMの【中島みゆき】の【家出】そのまんまだった。

映画のようだったわ。
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